第12章 語り合い
12月に入り、あなたは親友のセリアと会った。
互いの彼氏へのクリスマスプレゼントを買いに行き、そのあとは喫茶店で久々にお喋りをしている。
「――でさ、先週はほんとに色んなことがあったよ」
「ひえ〜。まさか彼氏の母親にいきなり出くわすとはね。よく切り抜けたね名無し。いい人そうでよかったねぇ、奇跡だよあんた」
パフェを頬張りながら眼鏡の瞳を大きくして言ってくる。あなたもしみじみと頷いた。
「それよりも前の話のほうが気になるんだけど。まさかヴィクトルさんが結婚意識してたなんて。ねえどうすんのよ」
じぃっと怪しい目つきで見つめられ、こちらの背が自然と張ってしまった。
「いやどうするって……ていうかセリアちゃん、あんまり驚いてなくない? そんなビッグニュースじゃなかった? ハハ」
「いやビッグすぎるでしょ。うちらまだ22だよ? でもさ、彼を見てたら名無しに夢中って感じだったもんね。だから不思議ではないというか」
冷静な探偵のような顔つきで断言される。あなたは答えあぐねてしまった。
「そうかなぁ……嬉し過ぎて毎日時々ニヤけるけどさ、反面私でいいのかなって我に返るときもあって。というかまだ確認したわけでもないし、今すぐとかじゃないだろうし…」
「あぁもうじれったいな! 聞けばいいじゃん、ねぇうちらいつ結婚するのぉ?ヴィクトルぅ〜ってさ。こう酔った勢いでしなだれかかって」
「ちょっと冗談にしないでよ! セリアちゃんじゃないんだから」
二人はふざけあったあとに笑い出した。こんなやり取りは長年連れ添った女同士でしか出来ない。
「…はぁだめだ、絶対聞けない。勇気がないよ」
「あのね。そんなことでほんとに結婚出来るの? 結婚っておとぎ話じゃないんだから。不幸とか金とか浮気とかうじゃうじゃ付きまとってくる現実だよ? それらを乗り越える覚悟あんの名無しに」
「……え…」
思わず口元がひくつく。
確かに親友の言う通りだ。楽しいことばかりじゃないかもしれないし、自分の親を見てもわかるが、これから大変なことを一緒に乗り越えられるかどうかが大事なのだろう。