第11章 一大事編
彼はあなたの背に手を添えて、紹介する気満々らしかった。
「見てわかる通り、彼女は俺の恋人なんだよ。よろしくね」
さらっと伝えられてあなたは若干縮こまるが、嬉しい気持ち以上に緊張感でパニくっていた。
「やっぱり! ものすごい若くて超美人じゃないですか! やりましたね〜部長」
真ん中の明るい女性がからかうように彼を称えると、彼はそうだろうとあっさり認めて腕を組む。
どうしようと思ったが年上の女性二人には、少なくとも表面的には好意的に捉えられ歓迎されているように感じた。
しかし若い女性をちらりと見ると、彼女の顔つきは明らかにこちらに向かって眉を寄せ、睨んでいた。
――うそ。絶対よく思われてない。
あなたは血の気が引きそうになる。
彼らの会話に相槌を打ちつつ彼女を観察すると、セミロングの黒髪は毛先までアイロンで整えられていて知的な印象だ。
一見涼やかな目元と淡いリップが冷静な印象を与え、 自分の意志をしっかりと持っていそうな美人だった。
「本当びっくりしましたよね。まさか部長にこんなに可愛らしい彼女さんがいたなんて」
彼女はあなたを見てニコりと人が変わったような笑みを浮かべた。
「ぜっ、全然、そんなことありませんよ!」
あなたは焦って答えてしまったが、その女性の前では無理やりにでも顔を上げて、毅然とした態度を保とうと努めていた。