第11章 一大事編
ベッドの中で丸まっていると、男の人の声がした。
「名無しちゃん、まだ眠い?」
あなたは小さくうなり声を出して、寝返りを打とうとする。
すると肩にしなやかな指が置かれた。
その温もりに目を開けると、ヴィクトルの顔があった。
「おはよう。ぐっすり眠ってたね。昨日は無理させちゃったかな」
慈しむような笑みを向けられ、あなたの頬は赤く染まる。黙って首を振るのが精一杯だった。
「ふふ、よかった。そうだ、朝ご飯できたよ。食べるかい?」
驚いたあなたは急いで起きようとする。
寝起きの顔や髪に恥ずかしさを覚えつつも、それ以上に焦った。
「ごめん! 今何時? 寝坊しちゃった?」
「いや、大丈夫だよ。休みなんだからゆっくり寝ていいんだよ、名無しちゃん」
優しく包み込むソフトな笑顔に癒され、またぼーっとしそうになりながらも。
サイドテーブルの時計に視線を伸ばすと、もう10時だった。こんなに寝てしまうとは。
昨日は確かに夜眠るのが遅かった。ヴィクトルの腕に熱く長く抱かれていたからだ。
その時間を反芻しながら彼に連れられて、あなたはリビングに向かった。
すると食卓にはとっても美味しそうな朝食が並んでいた。
コーヒーポットに焼きたてのパン、目玉焼きにソーセージ、ヨーグルトとフルーツ。新鮮なサラダまで。まるでホテルのような理想の朝ごはんだ。
「うわぁすごい! ヴィクトルこんなに準備してくれたの? ありがとう、ほんとに美味しそう。私寝坊しちゃったのに」
「いいんだよ、たくさん休んでほしかったから。お礼も兼ねて、今日は全部俺に任せてね」
あなたは瞳を輝かせて彼の優しさに感謝した。本当に甘えちゃっていいのかと思ったけど。
引き寄せられるように食卓を見つめ、急いで準備をして戻ってくる。
「いただきます。あ〜すっごく美味しい。幸せ〜」
食事を頬張りながら、前に彼とのデートで買ったおそろいのマグカップをぐびっと飲む。
すると自分を優しく見つめているヴィクトルに気づいた。