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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第11章 一大事編


「ありがとう、ヴィクトル。私も楽しみ⋯⋯」
「ふふ。楽しみにしててね。君を最大限に喜ばせたいんだ」

ウインクされて鼓動も跳ねた。本当にいいのだろうか。
一緒にいてくれるだけで嬉しいのに、彼のわくわくした表情を見ていると、なにやら素晴らしい日になりそうだと緊張すらしてくる。

そして彼は日曜日も二人でゆっくり過ごそうと言ってくれた。

「近場の街をぶらぶらしてもいいよね」
「そうだね。調子がよかったら。でも無理しないでね」

こうやって和気あいあいとしながらも、面と向かい合っていると、ふと昨夜を思い出した。

ヴィクトルは愛情を沢山示してくれるし、自分への優しさや心遣いが詰まっている。

今日大きな荷物を持ってきて、週末まで泊めさせてもらおうと考えたのは、実際勇気がいる行動だった。

あのセリフがあったから、やっぱり将来的なことを考えてしまったのだ。
もっと互いの普段の生活を知るべきなんじゃないかと。

なによりヴィクトルが今回風邪を引き、そばにいたい、いなきゃいけないという気持ちがずっと強まった。

彼はその前から一緒に住みたいと言ってくれていたけれど。

「名無しちゃん、どうしたの?」
「んっ?」
「考え事してた?」

彼の目尻に細かい皺がよった優しい表情。
それを見ていると、気持ちがとめどなくあふれそうになった。

「好きだなぁって思って。ヴィクトルのこと」

あなたは彼につられるように、愛情に満ちた顔つきを見せる。大人びたような、でもあどけなさも残る笑顔に、ヴィクトルは心が掴まれたようだった。

彼は急に立ち上がり、あなたの隣の椅子に腰を下ろした。
そして背を屈めて、内緒話をするように顔を近づけてくる。

「俺も愛してるよ、名無しちゃんのこと」
「⋯⋯⋯⋯っ。うれしい⋯⋯」
「⋯⋯困ったな。キスしたいよ」

彼は本当に悔しそうに、あなたの前髪にそっと唇を添えた。
そうして胸元へ抱きしめる。

そのもどかしい距離感さえロマンチックに感じて、あなたは頬を染めながら腕に抱かれた。

こんなに愛し合っているんだから、末永く一緒にいられるはず。
ヴィクトルもきっと、そう思ってくれてるに違いないんだ。

あなたの心の中は、ドキドキと期待感でずっと高鳴っていた。

けれども話題にあった土曜日に、また予期していなかった大きな出来事が起こるのだった――。

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