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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第11章 一大事編


「名無しちゃん、今日もここへ帰ってきてくれるの?」
「もちろん。心配だし。私が見てないと」

彼の表情が緩んでいき、少し顔が赤らんだので、また熱じゃないかと心配になる。

ヴィクトルは素直に喜んでいる様子だった。

「ふむ、なるほど。俺はもっと風邪引いたほうがいいかもな」
「もうっ」
「冗談だよ。昨日からすごく君に怒られてるな。自分が悪いんだけど、こういうのもいいね」

食卓に置かれた飲み物にお礼を言い、口に含みながら楽しそうに笑っている。

ついつい心配から大きく反応してしまうけれど、こんなふうにいつもみたいに会話できることが、すごく幸せで尊いものだと感じた。




その後、ヴィクトルは秘書に連絡をし、また役員の同僚にも電話をしていた。
話し声が少し聞こえたが、彼らは何も問題ないと受け取ったようで、ちゃんと休むように伝えてくれたようだ。

今日は重大なアポイントメントなどはなく、タイミング的にもよかった。

あなたはというと、午前十時からブティックに出社のため、彼の軽めの食事を準備してから、一度家に帰宅して向かうことにした。

出発のときは、玄関口でガウンを羽織ったヴィクトルが見送ってくれる。

「ごめんね、こんな格好で」
「いいんだよ。今日はゆっくりしてね」

彼は謙遜するけれど、妙に気だるい感じで色気が増している。こんなときにドキドキするのも不謹慎だと反省した。

あなたと目が合った彼は少し身を屈めて、優美に微笑む。
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