第11章 一大事編
「でもさ、いい人なんでしょ?」
「うん! とってもね」
「よかったわ。浪費とか束縛とか女遊びとか大丈夫なのよね?」
「ぜ、全然大丈夫」
「なら平気だわ! まあ万が一失敗してもさ、若いうちは当たって砕けろって言うし」
軽やかで容赦ないセリフに、あなたは顔がさっと曇っていく。
「砕けちゃやだよ!」
「あ、ごめん。だいじょーぶよ名無しちゃんしっかりしてるんだから。でも今度はちゃんと吟味しなさいよ。どう転ぶにせよ、二十代前半で出会う男は大事だからね」
彼女の言葉には経験からくる重みがあった。
イリスは独身だが長年年下の恋人と生活している。仕事の仕方も生き方も、小気味よく魅力的な人柄も、あなたが強い憧れをもつ存在だ。
違うほうに転びたくないな、そう思いつつ、あなたは真剣に頷いた。