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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第11章 一大事編


あなたは今日、一人でブティックに立っていた。
主要駅からほど近く、立地は悪くないが、知る人ぞ知る裏路地にひっそり佇む、アンティーク調のお店だ。

店内には十八世紀を思わせる家具や照明が並び、飾られた服はモノトーンや黒を基調にした、シックでエレガントなものばかりだった。

「これいいわぁ、この間ここで買ったブーツにぴったり」
「私もそう思います、黒のミドルブーツですよね? このワンピース色違いもあるんですよ。それもご覧になりますか?」
「本当? ぜひ見たいわ」

常連の小洒落たマダムと鏡を見ながら、あなたは接客をしていた。結果彼女は色違いを気に入り、満足げに購入していった。

「ありがとう。ここに来たらついたくさん買っちゃうのよね。珍しいデザインなのにセンスよくって。またよろしくね、名無しさん」
「はい! ありがとうございました。またぜひお越しくださいね。本格的な冬物もまだまだ入荷しますので」

店先でお辞儀をし、笑顔で見送る。
夕方すぎ、最後のお客さんだった。

あなたの服装は、この店にぴったりの黒いロングドレスだ。ゴシックエレガントな雰囲気が漂い、外出時とは違うメイクに髪をアップにして、ぐっと大人っぽく見える。

上質で価格も高めのため、客層は三十代から五十代が中心だが、上限は特にない。オーナー自身が海外で仕入れた希少なデザインを揃え、シックな淑女をイメージしたブティックである。

あなたは、そんな個性的なこの店を気に入っていた。

「あぁ、この服も可愛いなぁ。1ヶ月に一回だけ、ご褒美に買ってるけど。これにしようかな」

誰もいない店内で、全身鏡を見ながら素早くチェックする。
店に立つ時の服は見本品で貸し出しだ。しかし従業員割引で、気に入ったものは割安で購入できる。

普段の若者らしい手頃な服装とは違うけれど、あなたにとってブティックの服は背伸びができる、特別な憧れでもあった。

「名無しちゃん、お疲れ様。どう、今日の客足は」
「⋯⋯わっ! いたんですか、オーナー。今日もよかったですよ、秋物も冬物もよく売れました」

店の奥から出てきた中年女性に挨拶する。
彼女はイリスという名のブティックの経営者だ。ジャケットとレースのついたロングスカートをまとっていて、少しぽっちゃりした妖艶な美女である。
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