第10章 彼の同僚
「え、えっとぉ⋯」
彼みたいにムードをもって始められず、ぎこちなくなる。
すると見かねた彼が起き上がり、座ったまま抱きしめてくれた。
「ごめんね⋯! もっと経験があれば⋯」
正直ないわけじゃないけど、挿入関連はいまだに分からないことも多い。してもらってばかりだからだ。
彼は優しい瞳であなたの長い髪をといてくれる。
「あのねえ。そんなの気にしなくていいんだよ、名無しちゃん。大事なのは気持ちだから。俺は君の気持ちが嬉しい。さっきもそうだけど、俺のためにそうしようって、伝えたいって思ってくれたんでしょう? すごく伝わってるよ。だから俺もすぐ返したくなるんだよね」
あなたは彼の言葉が全身に染み渡り、うるっとくる。
「ありがとう⋯でも今日は頑張りたい⋯っ」
「よしわかった。じゃあやってみよう」
頭を丁寧に撫でられる。まるで年下丸出しで恥ずかしいけれど、安心がもたらされた。
そのまま脚を伸ばして座る彼に誘導され、ゆっくり腰をおろした。
「んぁあ⋯っ」
「⋯⋯っ、大丈夫、上手だよ」
ずぷすぷと大きいものが奥まで入ってきてしまい、腰が震えながらも少しずつ動いてみる。羞恥でいっぱいなのに快感にさらわれそうだ。
彼を見やると、浅く息づいて微動だにしていない。
「ヴィクトル、どう⋯っ?」
「⋯⋯ん? これはまずいよ」
え? まずいの?
パニックになったあなたを落ち着かせるように、彼はそっと腰を抱えて微笑む。
「うん。だからあまり動かなくて大丈夫だよ」
そう言ってくれたけど、あなたは焦り頑張って動き始めた。
やってみて分かったが、自分をコントロールしながら相手を気持ちよくしようとすることが、どれだけ大変か。