第10章 彼の同僚
「私は今のヴィクトルが好きだよ。大人だから安心できるし、余裕を感じて居心地がいいっていうのは、正直あるかもしれない。でも一番は、ヴィクトルの人柄だよ。想像だけど、ヴィクトルは昔からずっとそういう人だと思う。優しくて思いやりがあって、温かくて。よく私のこと気づいてくれて」
説明してるうちに感情が止まらなくなってきた。
「今日もお友達に会って知ったよ、皆から愛されてるんだなって。好かれてるの分かるし、それも嬉しいし、でも私だけに見せてくれる顔もあるのかなって⋯自惚れたりもしちゃうんだ」
彼のことを話していると、表情が自然に和らいできて、愛おしい思いが湧き出てくる。
「――だからね、自分と年が離れてる男性だから好きってことは、全然ないんだ。ヴィクトルの魅力だから、それももちろん含まれてるけど、あなた自身を愛してるの。だからこんなに好きなの!」
そう言って彼の胸元に抱きついた。普段はあまり気持ちをさらけ出せる性格じゃないけど、今はぶつけずにいられなかった。
もし彼が気がかりに思うことがあるなら、いつも自分にしてくれるように、すぐに取っ払いたかった。
ヴィクトルはぎゅうっと広い胸に押し込んで抱きしめてくれた。
急激に全身が火照っていく。熱い顔で見上げると、彼もかなり感極まった照れ顔で見つめ返してくる。
「名無しちゃん。俺今泣きそうなぐらい嬉しくなったよ」
「えええっ。泣かないで、私が每日思ってることだよ!」
「うん。ありがとう。君は一瞬で俺のこと幸せにしてくれるな」
眼前に彼の柔らかい表情がある。目元がうっすら染まり、いつもよりもっと優しい。
彼はいつどんな時でも素敵だけれど、きっとこの顔は、自分だけに見せてくれるものなんじゃないか。
そう思ったら、二人で見つめ合う時間がさらに幸せに包まれた。
「ねえねえ、ふと思ったんだけど。逆に私が若いところが好きなの?」
安心したらそんな疑問が出てきて、あなたは軽い気持ちで尋ねる。
別にいたずらで言ったわけではないけれど、目を丸くした彼はふるふると首を振る。かと思うと、じっとこちらを見て慈しんだような顔つきをしてくる。何かをじっくり考えてるみたいだ。