第10章 彼の同僚
彼はむしろあなたの家族のことを変わらず心配してるようだったから、実はもう母親には交際を伝えたと教えた。
「すごく関心持ってて、出来れば来年とか会いたいなって感じなんだけど⋯⋯どうかな?」
「もちろん。ぜひお会いしたいな、ありがとうね」
そう喜んでもらえてほっとした。正直父親とはまだ話してないが、母が伝えると言っていた。
別に仲は普通だけど、親子で頻繁に連絡するタイプでもなく、対面はきっと四人で出来るだろう。
「それでね、俺も少し気になることがあってさ」
「なになに? 直すとこがあったら何でも言ってね」
あなたが身を乗り出すと彼は「そんなの何もないよ」と驚き微笑みを見せる。
「実は、親父に何気なく言われたんだけどね。俺の年的に父親みたいな感じで慕われてるんじゃないかってさ。それがまったく悪いとかじゃないんだよ。俺も頼ってもらえる男になりたいし。⋯⋯でもその、君の男性のタイプ的にそういうことあるのかなって」
彼は瞳を近づけて、じっと尋ねてきた。
あなたは予想だにしない問いに唖然として首を振った。
「父親!? ぜんぜん違うよ、こんな格好いい父親いる!?」
「そう? ありがとう、照れるな」
「そうだよ! というか、うちのお父さんとは全く違うし、あ、でもそういうことじゃないよね。言ってることは分かるんだ――」
ものすごく慌ててから、まっすぐ聞いてくれた彼のためにも真摯に答えようとした。
「あのね、年齢によってあふれでる包容力とか勿論あるんだろうけど、ヴィクトルのは個人の性質だと思うよ!」
年の差は正直、あなた自身は気にしていない。周りから、とくにヴィクトルがどう思われるか、それは気になる。
立場とか環境の違いは都度思い知るけれど、二人の間で年齢自体が大きな問題と思ったことはなかった。