第10章 彼の同僚
「本当⋯? そばにいても恥ずかしくない?」
「もう、そんなわけないだろう。俺は見せびらかしたいんだよ、本当は。でも心配なんだ、誰にも取られたくないから」
ヴィクトルははっきりとそう言った。
初めて聞いた彼の激しい独占欲を示す言葉である。
「ねえ。俺のさっきの情けない姿見たでしょう? それでも名無しちゃんそばにいてくれるんだよね?」
「情けなくないよ! 主張してて可愛かったよ。好きって思った」
加えてもちろんそばにいると断言すると、彼は照れたように目尻を細めて笑う。
「はは、よかった。ちょっと恥ずかしいけどね。でも大事なことだから。⋯⋯それとね。クリスマス会も、俺の勝手な想像だけど、君がそういう賑やかすぎる場が好きか分からなかったんだ。うちの会社はああいう活発な人間が多いしな。皆いいやつだけどね、仲もいいし。コミュニケーションは取りやすいと思う」
きちんと教えてくれて、あなたは真剣に耳を傾ける。
「でももし興味があるなら、俺は君を周りに紹介できるのはすごく嬉しいよ。そんなイベントじゃなくても、どこでだって君と一緒にいられるのは大きな喜びさ」
優しく語りかけてくる彼の言葉に、気持ちが軽くなっていく。少しずつ心が迷い、動いてくる。
自分でも信じられない変化だ。
「ヴィクトルのお友達にも、会えるのかな?」
「うん、もちろん。君が怖くなければね。マックスが平気なら他のやつらも大丈夫だと思うけど。⋯⋯まあでも、今話を聞いてわかったよ。あいつも憎めない男というか、根はいい奴なんだ。ナンパなところさえなければ」
彼の呆れ混じりの物言いにあなたは笑う。
他の友人達にも彼の恋人としてすでに関心を持たれてるようで、会えたらきっと喜ぶと言ってくれた。ヴィクトルは自分はまたからかわれるだろうとも苦笑しながら。
「とにかく、そんなに深く考えないで大丈夫だからね。まだ時間はあるし、どっちでもいいことなんだから。それよりもっと大事なものあるでしょう?」
彼は瞳を柔らかくし、茶目っ気たっぷりに尋ねてきた。