第10章 彼の同僚
まさかさっきの話じゃないけど、焼きもち?
でもかなり仲良さそうな友達なのに。
そんなことを必死に考えていると、彼はやがて切なげにため息を吐いた。
「ごめんね、俺しつこいよな。でも気になるんだ。君の気持ちが」
鼓動が鳴っていき、彼のこぼした言葉にはもっと深い背景を感じた。
ヴィクトルは互いに何かあると、解決しようといつも話をしてくれる。そういうどんな話題でも向き合おうとする彼の姿勢が好きだった。
あなたは気恥ずかしさがあったが、正直に事の流れを話し始める。
「あのね。実はさっき、クリスさんにクリスマス会に誘われたの」
「えっ!? あいつ、そんなことしてたのか」
彼は仰天していた。青天の霹靂だったのだろう。
「悪かったね、びっくりしただろう。クリスはやけに君に来てほしいみたいで、俺達にすごく関心があるんだよ」
「本当? それは嬉しいな。⋯⋯でも私、自信がないって正直に言っちゃったんだ。その場は想像したらすごく楽しそうなんだけど、ヴィクトルの会社の人が自分を見たら、どんな印象を持たれるのかなって心配で⋯⋯こんな若輩者だし」
彼は正直に吐露するあなたの頬を、心配そうな眼差しで気遣うように撫でる。
「そんな風に考えてたんだね。年の差があるから、内心好奇の目で見てくる奴はいるかもしれないけど、そんな心配はまったく必要のないものだよ」
あなたの揺れる瞳がヴィクトルの熱い視線にとらえられる。切なげで、さらに庇護欲を掻き立てられているような、焦燥に満ちた眼差しだ。
「あぁ⋯俺はもっと君に、君自身の素晴らしさを教えなきゃいけないのかもな」
そう言って腕の中に抱き寄せられて、熱が伝わってきた。安心とともに不安が溶かされ、あなたはぎゅっと広い背中に掴まる。