第10章 彼の同僚
「えっ? あのマックスさんて人、プレイボーイなの?」
「ああ。SNSに裸の上半身載せてるんだ。それを俺達にも自慢げに見せてきて――まったく、立派なハラスメントだよな」
「うそー! はははっ。そうなんだ、どんな写真なんだろう」
かなり意外に思えて吹き出してしまった。彼も立場のある人だろうに大丈夫なんだと。
あなたの軽い反応にヴィクトルは心配な目を向ける。
「ちょっと名無しちゃん。検索しないでくれよ。俺はあんないかがわしい写真を君に見せたくないぞ」
「しないってば」
あくまで真剣な彼に笑いがこぼれる。そんなふうに言われると余計に気になってくるが、マックスは面白い人に感じた。余計にヴィクトルの友達なのが興味深い。
対してヴィクトルの気がかりはまだ止まない。
彼は普段余裕のあるスマートな男性であるが、あなたのこととなると、特に最近はすぐに心が乱されていた。
「そういえばさ。君は年上の男と喋ったりすることに、抵抗とかって⋯⋯ない?」
気遣うような尋ね方に、あなたははっきりと首を振る。話の流れから、きっと彼と同年代の年の差がある男性群のことを指しているのだと思った。
「ううん、ないよ。たぶん父親がもっと上だからっていうのもあるかもしれないけど。あ、あとブティックでも親世代のマダムが多いからかな。お客様は女性だけどね、結構夫婦でも来られるし。⋯⋯それと、ヴィクトルの会社の人だったら、クリスさんは丁寧で優しいよね。雰囲気も独特で面白いけど。あとマックスさんって、なんかいい人だよね。勢いはすごいんだけどさ」
思い出し笑いをすると、彼の顔をじっと近づけられる。
「どっ、どうしたの?」
あなたは突然キスされるかと思い、今日の落ち着かない様子のヴィクトルに翻弄されていた。
彼の美しい黒い瞳は、見つめられるだけで喉が渇く。こちらを探るような妖艶な目つきだ。
「どうしてそう思ったの? あいつがいい人って」
「⋯⋯えっ。そ、それは⋯⋯」
なぜか窮地に追い込まれた感覚と彼に囚われそうな背徳感で、くらくらしてくる。