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【呪術廻戦】誰も知らない

第13章 私の名


食事の準備は1日2回。
討伐後の食事が終わると夕方まで脹相と虎杖は休息を取るらしい。
八重はその間に片付けをして、今度は討伐前の食事の準備。
その前に食材をまた取りに行かねばならない。
しかし、食事が終わっても脹相が部屋を出ていく気配がない。
窓辺にもたれてこちらを見ている。

(あそこ…脹相さんのお気に入りなのかな…?)

そんなことを思いながら気にしていないふりをして片付けを進める。
片付けが終わっても佇む脹相に少し迷ったが意を決して「…お休みにならないのですか?」と切り出してみた。
「半呪霊だから人間ほど休まなくてもいい」と返される。

「でも…半分は人間ですよね?」

脹相は黙り込む。
またやってしまったと八重は思った。
これでは八重が脹相を言い負かしているようになってしまう。

(今度から気をつけなきゃ…)

八重はただ脹相に休んでほしいだけなのだ。
なので、片付けが終わった自分が外に出ればいい。
外に出ようとするとまた脹相に声をかけられる。
少しだけ言葉を交わし、最後に「何かあったら呼べ。お前がいる場所ならだいたいわかる」と言われた。
正直、驚いた。
初めて気遣うようなことを言われたのもある。
しかし、それだけじゃない。
今の一言でわかってしまった。

(あぁ、それで…窓辺なんだ)

昨日もきっとそうだったのだと。
緩みそうになる口元に手を当てて隠す。
きっとそういうの気づかれるのは好きじゃないと思う。
だから、気づかないふりをして「ありがとうございます。いってまいります」と頭を下げて部屋を後にした。
心がぽかぽか温かい。
それをどのようにしたら彼に返せるだろうか。
とりあえず、美味しいご飯を作ろう。
あとは、彼が今日も窓辺でうたた寝できるように、無事に帰ることが今できる精一杯。
いつか大きく返せる日が来るだろうか。
そんなことを考えながら荒廃した街へと歩を進めた。
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