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【呪術廻戦】誰も知らない

第13章 私の名


そこで出てくる加茂憲倫の名前。
一瞬で身体が戦慄する。
しかし、今は落ち着いて話を聞かなければ。
大きくゆっくり息をして、身体の主導権を取り戻す。
脹相の言っていることが正しければ、八重を手籠めにしようとしていたという夏油傑は加茂憲倫で、先日渋谷で起こった大惨事、現在進行系で起こっている災禍は全て加茂憲倫の仕業ということになる。
八重の感情は遂に抑えきれなくなった。
150年前、加茂と対峙した時、確かに脅威だと感じた。
しかし、九相図を救えればいいと、どうせそのうち死ぬ人間であると、高をくくってしまった。

〝あの時、私が――〟

加茂憲倫と対峙したあの時の感情が蘇る。
脹相がこちらを勢いよく振り向いた。
感情が流れてしまったことを知る。
咄嗟に顔を背けてしまった。
とにかく落ち着こうと一度廊下に出る。
他人の目がなくなったことで感情は大きく揺れた。
渋谷の惨状は見た。
人も、人だか呪霊だかわからない者もたくさん死んでいた。
建物は倒壊し、一部は焼け野原。
今や都内は呪霊がのさばり、あんなにいた人間はいなくなった。

(これが全て加茂憲倫の仕業…?)

『私を、殺さなくてもいいのか?』

挑発的なあの声を思い出す。
無防備に晒された首が頭をよぎる。
あの時、その首を落としていたのなら、この全ては起こっていなかった。

(私はまた、選択を誤った…!)

八重は叫び出したい衝動を必死に抑えた。
そんなことで自分の罪を吐き出してはいけないと思った。
そんなことで楽になってはいけない。
責を、罪を、罰を、楽に手放すことなど許されない。
もう一度、今度は自分の手で、確実に果たさなければならない。
そのためには彼らと一緒にいた方がいいのではないか。
そうすれば、いずれ加茂憲倫に辿り着く。
そうしたら、今度は躊躇わない。
どんな代償があろうとも構わない。

(私は償わなければならない…)

そうして八重の中で決意が固まった。
少しずつは気持ちは凪いでいった。
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