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【呪術廻戦】誰も知らない

第13章 私の名


それから3日間、八重は呪霊で溢れる都内の、脹相の気配を感じられる場所でただ佇んでいた。
渋谷の一件での動揺が嘘のように今は使命感と誰かを思いやる感情が常にある。

(温かいな…)

壊相と血塗が死んでからというもの冷えて固まっていた心が解けている。
今一緒にいる人は誰なのかはわからないけれど、脹相は弟に等しいくらいの大切な人を見つけたのだろう。

(もしかしたら、もう私が見守らなくても大丈夫なのかもしれない…)

もう近くで気配を伺うのは今日までにしよう。
そう思った矢先のことだった。
目の前に急に脹相が現れた。

「…!?」

驚いて言葉が出なかった。
脹相は無表情、いや少し眉を寄せている。

「ここには来るなと言ったはずだ」

声は静かで重い。

「…10月31日には近づきませんでした。あと、ここはこの前会った路地ではありません」

思わず口にしてしまったが、黙り込む脹相を見て芳しくないと思ってすぐさま謝罪する。
脹相はしばらく何も言わずに睨めつけるものだから八重は居心地が悪くてしょうがなかった。
この前できなかった話をするべきだろうか?
しかし、どこからすべきか?
今していいのか?
そんなことを迷っていると、脹相から「ついて来い」と言われた。
黙ってついていくと、もう人のいなくなった建物のわりかしまだ使えそうな部屋に連れて行かれた。
そこには一人の男の子がいた。
10代半ばくらい。
でも、顔には大きな傷跡が2つもある。
驚いたようにこちらを見る瞳はどこか哀惜の色がある。

(この人が脹相さんの大切な人…)

無礼がないように先に自己紹介をする。
「どうも」と頭を下げてはくれたがあまり状況が飲み込めてない様子が伺える。
二人で脹相に視線をやる。
脹相は異母兄弟の弟だと紹介した。
異母兄弟という単語が引っかかる。
脹相の父親は呪霊のはず。
なのに母が違うとはどういうことなのか。
そんな疑問を感じ取った脹相は説明を続けてくれた。
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