白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】
第17章 ○ 再びの文化祭 ●
3人が席に着くと、再び星歌は口を開く。
「ご、ご注文は…いかが…ニャさいますニャン?」
…猫耳なんか興味はない、だが、この黒猫はかわいい…。いや、これは猫耳だからではなく、星歌だからだ。オレは決して、猫耳プレイなんか好きではない。オレは…ノーマルだ。
「オレとアキラはクッキーとコーヒーのセットにしますけど、緒方さんはどうしますか?」
「オレはノーマルだ」
芦原の突然の問いに、思わず心の声が漏れ出た。まずい…。緒方の緊張感が高まる。
「ノーマル?…おすすめメニューってことですか?」
「…ああ」
「じゃあオレたちと同じですね?」
「…ああ」
…よかった…何もバレていない…。緒方は安堵しつつ、オレはノーマルだと自分に言い聞かせている。
「星歌ちゃん、クッキーのコーヒーのセットを3つ、お願いするニャン」
「…か、かしこまり…ましたニャン。…少々…お待ちください…ニャン…」
芦原は、語尾を「ニャン」にして完全に楽しんでいる。
隣のテーブルでは、女子大生らしきグループ客に、猫耳の男子生徒が接客をしている。生徒も客も語尾は「ニャン」にして、とても楽しそうな様子だ。
「お、お待たせしました…ニャン。ごゆっくりどうぞ…ニャン」
ただのクッキーとコーヒーだが、非日常の空間では少し違った味わいに感じられる。
教室の隅に目をやると、ゆみちゃんと話していた星歌がこちらを見て、目が合う。だが、星歌は恥ずかしそうに隠れてしまった。
「来なくていいよ」の真意はこれか…。まさか、あんな格好をしているとは思わなかったな。どうして来たの…?と責められるかもしれないが、まァ、いいものを見られた。芦原やアキラも見たのは癪だが、それは仕方ない。緒方はクッキーをかじりながら、ぼんやりと考えていた。