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白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】

第17章 ○ 再びの文化祭 ●


 いつものように、緒方と白川がカフェのガラス扉を押し開ける。
「いらっしゃい…ま…せ」
 星歌の声が、途中から小さくなった。
 カウンターの向こうでエプロン姿の星歌は、赤い顔で頬を膨らませている。白川は緒方に耳打ちする。
「おい…喧嘩でもしたのか?」
「…文化祭で、猫耳着けて語尾を『ニャン』にしていたのが恥ずかしかったらしい」
「へぇ〜?それはニャンとも…」
 星歌の動きが止まる。
「星歌ちゃん、今日は『ニャン』って言ってくれないの?」
 星歌は、顔をさらに赤くする。
「もう…文化祭限定です!」
 緒方はカウンターに肘をついて、星歌をまっすぐ見つめている。
「…あんな恥ずかしい姿、見られたくなかった。ゆみちゃんもからかうし…」
 星歌は顔を真っ赤にしたまま、ほとんど呟くように言った。
 緒方はカウンター越しに言う。
「…オレは、まァ、かわいかったと思うぞ」
「…本当に?」
「ああ」
「かわいかったなら、いいじゃん!はいはい、仲直り完了〜」
 白川が明るく言った。
 文化祭の黒猫は、確かに恥ずかしかった。でも、最愛の人に「かわいかった」と言われたのなら、それで全部、許せる。
 星歌はいつものように尋ねる。
「ご注文は?」
「いつもの、オリジナルブレンド」
 緒方は答えながら、星歌の笑顔を胸に焼きつけた。

 コーヒーを飲みながら緒方は問う。
「教室で話していたのが、ゆみちゃんか?」
「うん」
「何を言われたんだ?」
「…猫耳で接したら精次さんが喜ぶって。ああいうタイプは猫耳が好きそうって、言ってた…」
「…いや、オレは別に、星歌がかわいかったのは事実だが、猫耳に興味はない…」
 動揺しながら弁明する緒方の隣で、白川は肩を震わせて笑っている。
「今夜は猫耳でニャンニャンかな?」
「白川、変なこと言うな」
 白川の言葉に緒方は再び動揺する。…星歌はまだ、高校生だぞ…?
「もう、文化祭だけです!」
 意味を分かっていない様子の星歌に、ホッとする緒方だった。
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