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白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】

第16章 ● 深まる秋と2人の想い ○


 ソファに並んで座ると、星歌がスマホを取り出して、目をキラキラさせて言う。
「伯父さまの家、猫飼い始めたの!すっごくかわいいんだよ!ミケちゃん!」       
 画面に映っているのは、赤い鈴付き首輪を着けた真っ黒な猫。金色の瞳でこちらを見ている。
 緒方は一瞬固まる。
「…ミケちゃん?」
「うん!ミケちゃん、かわいいでしょ?」
 星歌は見た目と名前の差異を気にする様子がなく、疑問に思った緒方が尋ねる。
「…ミケちゃんなのに、三毛猫じゃなく黒猫なんだな?」
「え?…そういえばそうだね?ミケ・ザカリアスからとって健が名付けたの」
 健は一柳棋聖の息子であり、星歌のイトコの名前だ。緒方は、1月に会った健の顔を思いだしている。あのとき、星歌に告白するなら急いだほうがいいとアイツは言ったな…。こんなふうに星歌と付き合うとは、あのときは思ってはいなかったが、アイツの読みが正しかったというわけか…。それにしても、ミケザカ…?なんだその呪文みたいな言葉は…。
「ミケザカ…?」
「ミケ・ザカリアス。進撃の巨人に出てくる強い男の人」
「ああ、人気のアニメか?壁がどうとか厚みがどうのってのか?」
「壁は重要なモチーフだけど厚みは…。何でも囲碁にしないでね」
 星歌は笑う。
「男のキャラの名前ってことは、黒猫のミケちゃんはオスなんだな?」
「ううん、メスだよ」
 その言葉に、緒方は再び固まる。
「壁の外から来た謎の黒猫って健は言ってた」
 男性キャラクターが名前の由来である、メスの黒猫のミケちゃん…。気になるのはオレだけなのか…?星歌も一柳家の人々も、何も気にしないのか?
 そんな思いの緒方を横目に、星歌は買ったばかりのマグカップで紅茶を1口飲む。星歌がマグカップをテーブルに置くと緒方は、ソファの背もたれに腕を回して星歌の肩をそっと引き寄せる。星歌は驚いたように瞬きをするが、すぐに幸せそうに微笑んだ。猫のことは、まァ、どうでもいい。星歌が自分の隣にいる、緒方にとってはそれで十分だった。
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