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白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】

第4章 ● ハッピー緒方ブームとおうちデート ○


 スーパーでカートを押しながら野菜コーナーを歩いていると、隣で若い夫婦が楽しげに話している。 
「今夜はカレーにしようか?」
「あんまり辛いのはイヤだよ」
 …夫婦か。オレたちもまるで新婚みたいじゃないか…?と、緒方の心臓がドキリと高鳴る。おい、付き合い始めてまだ1か月ちょっとだぞ?気が早すぎるだろ…と、自嘲しつつ、星歌の横顔をチラッと見て、まあ、星歌となら…と、ニヤけが止まらない。
 鮮魚コーナーで星歌が言う。
「ねえ、精次さん、魚がお得みたい!」
「じゃあ魚にするか?」
「でも…家に熱帯魚がいるのに、魚食べて平気なの…?」
 …こんなことで真剣に悩むのか?と、緒方は星歌の不安そうな表情がおもしろくなり、思わず笑いそうになる。  
「星歌、熱帯魚はペットで、こっちは食材だろ。別ものだ」  
「そ、そっか…!でも、なんか…ごめんねって気持ちになっちゃって」
 …この純粋さ、愛おしいな…と、胸が高鳴る。
「シーフードカレーでも作るか?」
「うん、シーフードカレー、おいしそう!作ったことないから教えてね?」 
 緒方の提案に星歌は笑顔で頷いた。
 カートにエビとイカ、野菜を放り込みながら、白川の「一緒に料理」、悪くないな…と、緒方は内心で感謝していた。ハッピー緒方って騒がれても、星歌とのこういう時間があれば、どうでもいい…と、心が満たされていく。

 レジでチラッと緒方を見た店員が少し驚いた顔をしたような気がして、一瞬ヒヤリとするが、バレても平気さ、星歌はオレが守ると、そっと決意する。
 カートを押しながら、星歌の手をそっと握る。この笑顔があればハッピー緒方ブームも乗り越えられると、前向きな気持ちになる。
 外に出ると空はきれいなオレンジに染まっている。春の夕暮れが、2人の小さな冒険をそっと照らしていた。
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