• テキストサイズ

白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】

第3章 ◯ 十段獲得 ●


 対局室を出た緒方に、白川が声をかける。
「緒方!やったな!ネクタイピンのお守り、効果バッチリだったな!」
「そうだな…」
 緒方は素っ気なく返すが、白川のアドバイスがなかったら、星歌と公園で会うことはなかったな…と内心では感謝をしている。
 対局前に星歌と会ったことがオレの力になった。恋愛が碁にとっていい方向へ働くなんて、あるんだな…。今までの女は碁の邪魔にしかならなかったし、相手にとってもオレの存在意義なんて分からなかったのだろうけどな…。星歌と出会えて本当によかった…。そんなことを考えていると、棋院のスタッフが白川に駆け寄るのが見えた。
「ネット中継の解説、好評です!バズってて囲碁人気が盛り上がるかも!」
「へえ、オレの解説、そんなにウケたんだ?」
 興奮気味に話すスタッフとニヤリとする白川を横目に、緒方は帰路につく。緒方が星歌へメッセージを送ると、返信がすぐに届いた。
「十段を獲れた。帰ったら声を聞きたいから、電話する」
「十段おめでとう!電話、待ってるね」   
 文末にハートマークが付いていて、緒方の心が弾む。ふと「バズってる」を思いだして、ネット中継のアーカイブをチェックする。
 白川がネクタイピンについて話をしていて、緒方は苦笑い。その直後、「ネクタイピン、彼女からのプレゼント?」「緒方九段、恋してるな!」などのコメントが流れて恥ずかしさが湧く。そんな中、あるユーザーが発した「ハッピー緒方」が大ウケして、画面が「ハッピー緒方」でいっぱいになる。何だこれ…!白川のせいで…と、顔の熱さを実感する。でも…勝ったから許してやるか…と勝利の余韻にニヤリとする。ハッピー緒方、悪くないよな…と、胸があたたまる。

 帰宅後、星歌との電話。
「精次さん、おめでとう!「ハッピー緒方」って騒がれてるね!なんか楽しそう!」 
「白川のせいだ」
「精次さんがいい碁を打てて、みんなが喜んでるなら、いいよね?」
星歌の優しい声。確かに…星歌の言う通りだな…と緒方は頷く。
 十段獲得と星歌のキラキラした声、緒方の心は幸せな感情で満たされていた。
/ 83ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp