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白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】

第3章 ◯ 十段獲得 ●


 十段戦第5局に向けて、緒方はネクタイを締め、鏡の前に立つ。手には、星歌から贈られたネクタイピンを持っている。星歌の笑顔があれば塔矢先生にも勝てると、闘志が燃える。第4局の失敗は繰り返さないぞ…と、胸を張る。誰に何を言われても堂々としていればいいと、ネクタイピンをそっと留める。いい感じだと、鏡に映る自分に頷くが、頬が少し熱い。
 対局室へ向かう途中、廊下で白川と鉢合わせる。どうしてここに…!と、緒方の心臓がドキッとする。
「よお、緒方!いよいよ最終局だ、気合入れろよ?オレも今日は解説でファンを楽しませるからな」
「ああ、今日は決めさせてもらう」
「いいネクタイピンだな?星歌ちゃんからのプレゼントか?」
「ああ、そうだ」
 顔がカッと熱くなるが、緒方は平静を装う。
「星歌ちゃんも応援してるからな、頑張れよ」 
 白川は緒方の肩を軽く叩き、ネット中継の解説ブースへ向かった。   
 星歌の笑顔とネクタイピンがオレに力をくれる、今日はきっと最高の碁を打てる!と、緒方は気合を入れる。
 対局が始まり、緒方は盤面に集中する。一方、ネット中継では白川が解説を担当している。
「今日の塔矢十段、いつもと違う打ち方に見えますね。序盤から積極的だ。けど、緒方九段もこの頃ハッピーなんで、やってくれると思いますよ」
「白川先生、ハッピーとは?」
 聞き手の言葉に、白川がニヤリと笑う。
「緒方九段、珍しくネクタイピンなんて着けてるんですよ。あの碁石みたいなデザイン見たでしょ? 誰かからのプレゼントですよ、きっと」
 星歌の名前こそ出さないが、匂わせのような発言にネット中継のコメント欄は盛り上がっていた。
 対局が中盤に差しかかり、緒方の読みが冴える。…先生はいつもとは違う打ち方をしてくるが、混乱させようという作戦か?だがオレは、その上を行く!行洋の攻勢を巧みに受け流し、終盤で一気に形勢を傾ける。
 結果は緒方の中押し勝ち。終局直後、一斉にカメラのフラッシュがたかれ、勝利の高揚感が増していく。インタビューに答える間もどこか現実味がないが、それでも、オレはタイトルを獲ったとの感情が徐々に高まっていた。
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