第12章 ※イタリアの空は、君を諦めない【REBORN ディーノ】
「……ディーノさん、すごく慕われているんですね」
ぽつりと漏らすと、少し後ろを歩いていたロマーリオが誇らしげに目を細めた。
「ええ。ボスはこの街の守り神のような存在ですから。誰もが彼を愛し、信頼しているんです」
ディーノは少し照れくさそうに頭を掻き、に優しい視線を向けた。
「……マフィアっていうのは、本来はこういうものなんだ。怖いイメージを持たれがちだが、法の手が届かない場所で、大切な人たちの生活を守る……君に、それを少しでも知ってもらいたかった」
彼の隣を歩くことで、は自分を苛んでいた「マフィア」という言葉のトゲが、少しずつ抜けていくのを感じていた。
「……ふぅ。少し、歩きすぎたかな」
石畳の緩やかな坂道を登りきったところで、ディーノが足を止めた。
久しぶりの外出に加え、数日間の衰弱が残っているの足取りが、わずかに重くなっているのを彼は見逃さなかった。
「丁度お昼だ。この先に俺の馴染みの店があるんだが、食べていかないか? 何か食べられないものや、嫌いなものはある?」
「いえ、好き嫌いはないので、大丈夫です」
「そうか、よかった! じゃあ、あそこだ」
ディーノが案内してくれたのは路地裏に佇むこぢんまりとしながらも、活気あふれるトラットリアだった。
店主がディーノの顔を見るなり、「よう、ボス! 最高の席を空けてあるぜ!」と威勢よく声を上げる。
席に着くと、ディーノは迷うことなく注文を済ませた。
「ここのマルゲリータは世界一なんだ。俺の大好物でね、自信を持ってオススメするよ!」
運ばれてきたのは、薪窯で焼かれた香ばしい匂いを漂わせる大判のピザ。
とろりと溶けたモッツァレラチーズと、鮮やかなバジルの緑。
が一口運ぶと、口の中にトマトのフレッシュな酸味と、小麦の豊かな香りが一気に広がった。