第12章 ※イタリアの空は、君を諦めない【REBORN ディーノ】
「……っ! 美味しい……。こんなに美味しいピザ、初めて食べました」
思わず、心の底から言葉が溢れた。
昨夜までの悪夢のような日々がこの温かな一口で、遠のいた気がした。
気づけばの頬には自然な赤みが差し、唇の両端が緩やかに弧を描いていた。
「……よかった。本当に、よかった」
向かいに座るディーノの声が優しく響く。
が顔を上げると彼はピザに手をつけるのも忘れ、愛おしそうに彼女を見つめていた。
「君のそんな顔、初めて見たよ。……笑うと、そんなに可愛いんだな」
「えっ……」
直球すぎる言葉に、は少し照れて視線を落とした。
ディーノは彼女の反応に小さく笑みを返したが、その胸の奥では自覚し始めたばかりの熱が静かに脈打っていた。
(……守りたいと思っていただけのはずなのに)
恐怖に震えていた彼女を救い出したあの日から、自分の中で何かが変わり始めている。
ただの「保護対象」としてではなく、一人の女性として。
目の前で一生懸命に食事を摂る彼女の横顔を、彼はいつまでも眺めていたいと感じていた。
「ゆっくり食べて。デザートには、ここの特製ジェラートも用意させるから」
ディーノはそう言って、照れ隠しのように自分のピザを口に運んだ。
昼下がりのシチリアの光が、二人のテーブルを優しく照らしていた。