第12章 ※イタリアの空は、君を諦めない【REBORN ディーノ】
しばらくすると、部屋の外から慌ただしい足音が近づいてきた。
「ボス、屋敷内の制圧、完了しました!残党はすべて捕縛、または排除済みです」
現れた部下の報告に、ディーノは一瞬だけ鋭いボスの顔を見せたが、すぐに腕の中のへと視線を戻し声音を和らげた。
「……ご苦労。負傷した者はいないか? それと、後始末は任せた」
落ち着きを取り戻したが、顔を上げて立ち上がろうとする。
しかし、数日間にわたる凄惨な陵辱と恐怖で、自力で立ち上がれなくなっていた。
ガクリと膝が折れ冷たい石畳に沈みそうになった瞬間、強い腕が彼女を横から掬い上げた。
「……っ、あ……っ!?」
「おっと、……大丈夫か?……無理しなくていい。」
ディーノはボロボロなを、壊れ物を扱うような手つきで抱き上げた。
彼の腕の中は驚くほど温かく、数日間暴力と快楽の渦に叩き落とされていたにとって、それは救いだった。
運ばれた先は、イタリアの古都に佇む壮麗な屋敷だった。
温かい湯を張った風呂で、女性の使用人たちの手によって丁寧に身を清められる。
肌にこびりついた男たちの痕跡が洗い流されるたび、止まっていた涙が溢れ出した。
清潔な寝着に着替えさせられふかふかのベッドに横たわると、ほどなくしてディーノが部屋を訪れた。
彼は椅子に腰を下ろし、落ち着いたトーンで事の経緯を話し始めた。
「……あそこは、最近この街で幅を利かせていた新興のファミリーの拠点だったんだ」
ディーノの表情に、マフィアのボスとしての厳しい影が差す。
「奴らは出所不明のたちの悪い薬や武器を密売して、この街の治安を急速に悪化させていた。俺たちも尻尾を掴もうと警戒していたんだが……事態はそれだけじゃなかった」
彼は一度言葉を切り、を安心させるように小さく微笑んだ。
「君が泊まっていた宿の主人が、俺のところに駆け込んできたんだ。『日本人の女の子が荷物を置いたまま、何日も戻ってこない』って。彼は君のことをとても心配していたよ」
その言葉にの胸の奥がツンと痛む。
自分の不在を案じてくれていた人がいた。
その事実が削り取られた自尊心を少しだけ埋めてくれた。