禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第14章 へなちょこな彼は彼女を愛したい 【REBORN ディーノ】
ロマーリオが後ろで温かく目を細めている。
いのりは顔を赤くしながらも、その末吉の紙を丁寧に折り畳んだ。
呪いも絶望も、もう自分の後ろにはない。
たとえ災難が多かろうと、隣でその手を強く握ってくれる彼がいるのなら、この世界で生きていくのも悪くない。
「……はい。そうですね」
彼女は照れ隠しに前を向き、京都の柔らかな陽光の中を、再び歩き出した。
京都の夜は、都会の喧騒を忘れさせるほど静かに更けていった。
ディーノが用意したのは、歴史を感じさせる門構えの高級老舗旅館だった。
ロマーリオは「私は近くのビジネホテルで羽を伸ばしますから、お二人はどうぞ水入らずで」と、粋な計らいを見せて去っていった。
案内された部屋は、畳の香りが心地よい広々とした和室。
縁側の先には、月明かりに照らされた専用の露天風呂が湯気を立てている。
「すっげえな……日本庭園を見ながら風呂かよ。最高じゃねえか。なあ、いのり、後で一緒に入ろうな!」
ディーノが屈託のない笑顔でそんな提案をしてくる。
先日、あんなに激しく抱き潰された記憶が蘇り、いのりは耳まで真っ赤になった。
けれど、彼の期待に満ちた瞳で見つめられると、どうしても拒むことはできなかった。
「……はい。少し、恥ずかしいですけど」
「はは、照れるなって!よし、じゃあ夕食の前に軽く汗を流してくるか。大浴場も有名らしいぜ!」
二人は浴衣に着替え、まずはそれぞれ大浴場へと向かった。
女湯の脱衣所で浴衣を脱ぎ、いのりは鏡に映る自分の姿を見つめた。
白く透き通るような肌には、まだディーノが付けた淡い愛の痕跡が残っている。
(……綺麗にしないと)
この後、彼と一緒に露天風呂に入る。
そう思うだけで、胸の鼓動が早くなる。
彼女は洗い場で丁寧に、念入りに身体を清めた。
湯船に浸かり、じんわりと身体を温めると、肌は上気して桜色に染まった。
風呂から上がり薄手の浴衣を整えてロビーへ向かうと、そこには既にディーノが待っていた。
腰に手を当て瓶のコーヒー牛乳をぐいっと飲み干す姿は、彫りの深いイタリア人でありながら、不思議と日本の風景に馴染んでいる。