禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第14章 へなちょこな彼は彼女を愛したい 【REBORN ディーノ】
「せっかくここまで来たんだ、暗い話は終わりだぜ! 今日はとことん京都を楽しもう」
ディーノが快活に笑い、いのりの手を引いた。
記憶にある京都と、この世界の京都。
地図の名所の名前も、驚くほど同じだった。
清水寺の舞台から見下ろす景色も、嵐山の竹林を抜ける涼やかな風も、かつて「任務」や「修行」の合間に垣間見た景色と重なり合う。
けれど、決定的に違うのは、その景色のどこにも呪力の澱みがないことだ。
伏見稲荷の千本鳥居をくぐっても、そこにあるのは神秘的な静謐さだけで、化け物の気配は微塵もしない。
「……不思議ですね。世界が違うのに、こんなに似ているなんて」
「はは、きっとどの世界でも、綺麗な場所は変わらないってことだな。ほら、いのり、あそこでおみくじ引けるぞ。運試ししてみようぜ!」
賑わう境内で、三人はおみくじを引いた。ディーノは期待通りの『吉』、ロマーリオも無難な『小吉』だ。
いのりが慎重に開いた紙には、『末吉』の二文字が書かれていた。
「末吉かぁ……微妙ですね」
「どれどれ? ……あー、『災難多し。周囲に注意せよ』か……。ヤクザの件、これに当てはまってたんじゃないか?」
ディーノが苦笑いしながら紙を覗き込む。
並盛での散々な目に遭った直後だけに、いのりは思わず身を固くした。
この世界でも、自分の運勢はそれほど甘くないのかもしれない。
(やっぱり、気をつけなきゃ……。まだ何か、悪いことが起きるのかも)
不安げに視線を落とす彼女だったが、その下の項目に目が止まり、ふと動きを止めた。
『恋愛:大いに良し。誠意を持って接すれば、一生の伴侶となる』
「……っ」
「ん? 恋愛運はどうだ? ……おっ、『大いに良し』じゃないか! 誠意、か……」
横から覗き込んだディーノが、その一文を見て満足げに口角を上げた。
彼はそのまま、いのり手を握るとぎゅっと力を込める。
「災難は俺たちが全部跳ね返してやるから安心しろ。でも、この『一生の伴侶』ってところだけは、しっかり信じていいんじゃねーか?」
「……ディーノさん」
「ボス。おみくじもたまには良いことを言いますね」