第17章 いい子 ※
一通り果物を捌き終えたナマエは、最後の一切れを紙皿に乗せると満足げに虎杖の方へ向き直る。
そして自分も林檎を口に含みながら、何気ない様子で言葉を交わし始めた。
「ねえ虎杖くん。ずっと気になってたんだけど、宿儺はご飯とか食べないの?」
「飯?あー……たまに食べさせてやろうとすんだけど、頑なに食わねぇんだよな」
「果物とか食べるかな?」
そんな軽口を叩きながら、ナマエがウサギ型の林檎を手に取り、虎杖の頬にツン、と悪戯っぽく触れさせた。
その瞬間。
虎杖の頬に突如として浮き上がった宿儺の口が、躊躇なくソレをバクリと丸呑みした。
「………食べたね?」
「……デスネ」
驚きで固まる二人を横目で見ていると、自分の目がみるみる据わっていくのが分かった。
昨日、目の前でナマエが奪われた光景がまだ頭に残っているせいか。
目の前の光景がひどく癪に触り、元々小さな器が更に縮小している気がする。
「………」
「げっ、アンタこの程度で嫉妬してんの?ダッサ」
「……うるせぇ」
高価そうなフルーツを選んで頬張る釘崎に小さく吐き捨て、俺は虎杖とナマエから無理やり目を逸らすと、冷え切ったピザを力任せに口へ放り込んだ。