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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第17章 いい子 ※





釘崎の発言を合図に何故か俺のベッドにピザを広げ始めた虎杖たちは、黙々とピザを頬張り始めた。


(………こいつら、よく一発目の飯でピザなんか食えんな)


俺は一応、療養中の身だ。

消化に良いものを一欠片くらい差し入れる気はなかったのかと呆れたが、ピザしかないのなら仕方がない。

俺も腹は減っているし、と一切れに手を伸ばそうとすると、横から伸びてきた華奢な手に腕を制された。


「恵くんは先にこっち」
「……」
「昨日の夜、果物買ってきたの。剥いてあげるから待ってて?」


そう言ったナマエは、隠し持っていたらしいバスケットから大きな林檎を取り出し、懐からフルーツナイフを取り出す。


「……お前、そんな物騒なモン持って高専歩くなよ」
「……恵くんは、私がこれで誰かを傷つけると思ってるの?」
「いや、そうじゃねえ」


鈍臭いやつだから、転んだ拍子に刺さったりでもしたら危険だ。

そういう意味で言ったのだが、ナマエは不服そうに口を尖らせながら、林檎の赤い皮を薄く、丁寧に剥き始める。


「ナマエ、私の分も剥いて」
「はぁい」
「えっ!それ伏黒のやつじゃねえの!?んじゃ俺も!!ウサギのやつ出来る!?」
「うん、出来るよ。ちょっと待ってね」


次々と寄せられる図々しいリクエストに、嫌な顔一つせず頷くナマエ。

そしてナマエは穏やかな表情で林檎を等分に切り分けると、その最初の一切れを、何よりも、誰よりも先に、俺の口元へと差し出した。


「はい、恵くん。あーん」
「……ん」


何も考えずに口を開き入ってきた林檎を噛めば、シャクっと新鮮な音が鳴り、甘みが口いっぱいに広がる。

随分といい果物屋で選んできたんだろう。

蜜が多くて甘いのに、それが上品な甘さで胃が喜んでいるのが分かる。


「…………」
「あー……俺、そっちのピザ食いてぇなー……。釘崎、取ってくんない?」
「自分で取れ」


釘崎の方から突き刺さるような視線が送られている気がするが、無視を決め込むことにして。

俺はタイミングよく次々に口元へ差し出される果物を、ただ黙って享受し続けた。
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