第17章 いい子 ※
「伏黒ー!!ピザ食───おっ、邪魔しました!!」
室内に踏み込んできた虎杖くんは、私の方を見つめたあと大きく目を見開き、開けた時以上の大きな音を立てて再び扉を閉めてしまった。
「ちょっと虎杖!!なんで閉めんのよ!!」
「……俺、やっぱコーラ買いたい……んで、ついてきてクダサイ、釘崎サン」
「はぁ??ひとりで行きなさいよ」
「いやマジで、ホンッッットお願い!!邪魔したら伏黒の機嫌悪くなるから!!」
「……あぁ、なるほどね」
虎杖くんが姿を消した場所を見つめていると、その扉の奥からは野薔薇ちゃんの声も聞こえてくる。
「伏黒、三秒数える間にナマエから離れなさい。じゃなきゃ大声で、アンタに関するあることないこと言いふらしてやるわよ」
虎杖くんとの会話の中で何を察したのか、野薔薇ちゃんはそう宣告すると、無遠慮にドアをドンドンと叩いた。
「はぁ……」
「ふふ、」
盛大なため息をつく恵くんの姿がおかしくて、つい笑みが零すと、それに反応して口を尖らせた恵くんから鋭い視線を向けられた。
それすらも笑って受け流した後、私はほんの少しだけ恵くんから距離を取り、野薔薇ちゃんのカウントが『0』になるのを待った。
「おはよ、野薔薇ちゃん」
「……おはよ」
バン!!と再び大きな音を立てて扉が開かれる。
同時に飛び込んできた野薔薇ちゃんに挨拶をすれば、どこか不機嫌そうな顔をしたまま、しっかりとした返事が返ってきた。
「アンタら、所構わず盛るのやめてくれない?何で私が気を使わなきゃなんないのよ」
「……いや、この間はお前が勝手に部屋押しかけて来たんだろ」
「うるさいわね。叫ぶわよ」
「なんでだよ」
そんな口論を始めた二人を横目に見て笑っていると、入口のすぐ手前でオロオロと困惑している虎杖くんと目が合った。