第17章 いい子 ※
勝ち誇ったように笑みを零すナマエを恨めしげに見上げていると、その視線に気づいたのか、ナマエは愛おしげに瞳を細める。
「もっと、たくさん、言ってほしいなあ」
コイツの我儘にも、随分と慣れたものだ。
だから、次にお前が悪戯にそう願うことも、それに対して俺がどう返すべきかも、とうに準備はできていた。
「…………愛してる」
「っ、」
今度は俺がナマエの頬を包みこみ、真正面から告白を零す。
予想外だったのだろう。ナマエはこれでもかというほど目を見開いて、呆然と俺を見下ろした。
「ぁ……う、」
手に触れた頬が熱くなっていく。それだけで"やり返してやった"という加虐心が満たされ、同時にどうしようもないほどの愛おしさが込み上げてくる。
「………好きだ」
「……っ、わたし、も…、すき」
ナマエの顔を引き寄せ、コツンと額同士を合わせれば、ナマエは震える睫毛を伏せて、ゆっくりと目を閉じた。
"それ"が接吻の合図だと、分かっているからだ。
「っ……、……、ふ、ぅ…っ」
俺の言葉を疑うことなく真に受けて、必死に喉の奥で声を殺すナマエ。
その健気で苦しげな様子を見ていると、さっき満たされたはずの加虐心が、飢えたように枯渇していく。
「……、…っ!?」
片頬を解放して空いた手を寝間着の隙間から差し込み、遮るもののない柔らかな肌へ直接指先を滑らせた。
こんな時間に外を出歩いておきながら、肌着の一枚すら着ていない不用心さについては、後でたっぷり説教するとして。
胸の頂きにあるまだ柔らかな突起を指の腹で撫でてやると、ナマエはピクリと身体を揺らし、俺の肩に置いていた手でパタパタとそこを叩く。
「む、むり……っ、こえ、でちゃう」
「我慢しろ」
「ほんと、だめ……」
小さな声で言葉を紡ぎながら、ナマエは首を横に振った。
「やめてください」。その思いが全身から立ち上っているのがわかる。
しかし、枯渇した俺の加虐心は、まだナマエを求めていた。