第16章 運命的な再開
「んっ……んんッ!!」
必死に彼の胸を叩いて抵抗しても、侵入した舌が蛇のように舌に絡みついて、私の逃げ場を塞いでいく。
輪郭を強く固定されて、顔を背けることすら許されなくて。
混じり合う唾液の音と、無理やり流し込まれるソレの温かさに、頭の中が真っ黒に塗り潰されそうになる。
「ッ、そいつから離れろ!!!」
「伏黒!!呪力抑えろって!!刺さってる根が成長するだろ!」
「ンなこと言ってる場合じゃないんですよ!!」
少し離れた場所で、恵くんとパンダ先輩の怒号が聞こえる。
今すぐ恵くんを視界に入れて、助けてと叫びたい。
だけど、別の誰かと繋がっている状態で恵くんを見ることは、私には出来なかった。
「っ……はぁ…、柔らか」
「あ……っ、」
ようやく唇が解放された瞬間。
腰に巻きついていた腕も、顔を固定していた手も唐突に離されて、支えを失った私はその場に無様に崩れ落ちた。
「テメェ……ッ、」
「伏黒!!気持ちは分かるけど落ち着け!」
恵くんが、私のために、声を荒らげて怒ってくれている。
それは何よりも嬉しいはずのことなのに、最愛の人を目の前で裏切ってしまったという罪悪感のせいで、何も感じない。
「はぁ……今からが僕の見せ場なんだから、君は引っ込んで────」
委員長が吐き捨てるように呟いた、その時だった。
───── バシュッ!!
薄暗く淀んでいた空が一気に青く突き抜けた。
驚いて空を見上げると、遥か上空で宙に浮く五条さんと、一瞬だけ目が合った気がした。
(…………帳が、上がった)
一抹の安堵を感じた瞬間、全身の緊張がぷつりと切れ、身体が地面に吸い込まれそうになる。
けれど今は、……今だけは絶対に、気を失うなんて事は許されない。
「……はあ?帳上がるの早すぎでしょ」
そう言って忌々しそうに眉を顰める委員長。
呪詛師として追い詰められ、もう逃げ場のない彼を───私が、人間に戻さなきゃいけないから。