第16章 運命的な再開
正午になり、昼飯を済ませた俺たちは、東京校のスタート地点へと集合していた。
準備を整えて談笑を始めた釘崎たちの隣で、ナマエが不機嫌そうに口を尖らせているのが嫌でも目に入る。
「ちょっと、アンタ昼からずっとその顔じゃない。いい加減やめなさいよ」
「……だって、」
今日の昼飯は必然的に男女のグループに別れた。
そのせいで、ミーティング直後からナマエの機嫌が悪い理由を探れなかった。
「お前、そんなに東堂とやりたかったのか?」
「真希さん…………」
当初の作戦では、スタートと同時に真っ向から突っ込んでくるであろう東堂を食い止める役目はナマエに託されていた。
実力的にも術式的にも、あの化け物じみた男を少しでも長く足止めできる可能性が最も高いのがナマエだったからだ。
ただ、虎杖生還をへて変更された作戦は、ナマエのポジションを虎杖に任せるというものだった。
俺個人としては、あの掴み所のない男にナマエをぶつけるのは毛頭本意ではなかったから、この変更は渡りに船だったのだが……当の本人は、自分の役割を奪われたようで納得がいかなかったらしい。
「んなヘコむなよ。慰めてやろうか?」
「……はい、」
「ったく、甘えたなやつ」
不満げな顔のまま小さく頷いたナマエは、真希さんの雑で力強い掌を、嬉しそうに自分から頭を寄せて受け止めている。
それを見た釘崎が「あっ、ズルい! 真希さん私も!!」と自分の頭を差し出し、真希さんは笑いながら両手で二人の髪をぐしゃぐしゃに掻き乱していた。
「…………」
「お?嫉妬か?伏黒」
「違います」
俺が触れる時よりも、どこか無防備で幸せそうに頬を緩ませるナマエの表情。
それを見て無意識に眉を顰めていた俺の頬がパンダ先輩に突かれ、さらに眉間の皺が深まっていくのが分かった。
認めればまた厄介な方向に話を持っていかれるから咄嗟に否定はしたものの、内心穏やかでないのは事実だった。