第16章 運命的な再開
「……恵くん?」
俯いたまま地面を見つめていると、不思議そうに目を瞬かせたナマエが視界にフェードインしてくる。
「元気、ない?」
「……いや、別に」
ほんの少しだけ、ナマエや狗巻先輩が背負う術式の"代償"を疎ましく思っていただけだ。
狗巻先輩は、時間経過で喉を潤せば術式の反動をリセットできる。
だがナマエは……。いや、コイツが背負ったリスクは、俺が何とかしてやればいい。
「……ほんと?嘘ついてない?」
「ついてねぇよ」
探るように俺の顔を覗き込んでくるナマエの頭を雑に撫で、逃げるように視線を逸らす。
すると、こちらをニヤニヤと眺めていた真希さんたちと視線が正面からかち合い、部屋の中に妙に気まずい沈黙が流れた。
「イチャついてんな」
「ですね。もっと弄ってやりましょ、真希さん!」
「……ヤメロ」
妙に乗り気な釘崎を低い声で制すと、真希さんは「で、どうするよ」と、面白がるような口角はそのままに、会議の軌道を修正した。
「団体戦形式はまあ予想通りとして、メンバーが増えちまった。作戦変更か?時間ねぇぞ」
「そりゃ虎杖次第だろ。何が出来るんだ?」
「殴る、蹴る」
「そういうの間に合ってんだよな〜」
どうする、と再び会話が詰まった。
武闘派が間に合っているとはいえ、恐らく単純な身体能力において、この中で一番動けるのは──…。
「……コイツが死んでる間 何してたかは知りませんが、東京校・京都校、全員呪力なしでやり合ったら────虎杖が勝ちます」
「…………面白ぇ」
決定打を下した俺の言葉に真希さんは不敵に笑い、パンダ先輩と共に即座に作戦の修正案を練り上げた。
そして残り少なくなった時間の中で、新しい戦術が俺たちへと伝達されていった。