第16章 運命的な再開
「東堂さん」
「なんだ?」
私が名前を呼ぶと、彼はどこか嬉しそうに返事をした。
こんなことなら名前なんて呼ぶんじゃなかった───そう後悔してしまうほど、私は彼が……苦手だった。
「恵くんのこと、虐めたって本当ですか?」
「虐め……?……ああ、この前の腕試しのことか?」
まるで悪気など微塵もない、あっけらかんとした物言いに、腹の底でふつふつと怒りが沸き立っていく。
「あれは伏黒が悪い。俺の慈悲の問いかけに つまらん回答を寄越したからな」
問いかけの内容が何だったのか。そして、それに対して恵くんが何と答え、どうなったのか。
事の顛末はすべて、扉越しに野薔薇ちゃんから聞かされていた。
それを告げられた時、私は部屋にいて、その話を聞くことができて心底良かったと思ったのを覚えてる。
「一応、加減はしたつもりだったんだがな。俺より弱いことに変わりはないが、最後の方は悪くなかったぞ」
「………」
これはフォローをしているつもりなのか。
それともわざと私を煽って楽しんでいるのか。
目の前の東堂さんは、まるで過去の"ちょっとした出来事"を語るように淡々と言葉を吐いた。
それが妙に気に触れて、何か言い返してやろうとした────その時。
「おっまたー!!!!」
ガラガラと大きな箱を乗せた荷台を押した五条さんが、私たちの険悪な空気を薙ぎ払って現れた。
「やぁやぁ皆さんお揃いで!私出張で海外に言ってましてね!」
いつもよりひどく上機嫌な五条さんに、この場にいる殆どの人間が顔を引きつらせている。
そんな中、私は1ヶ月以上ぶりに見るその姿に向かって、無意識のうちに駆け出していた。
「五条さん、……おかえりなさい」
「ナマエ〜!!たっだいま〜!!!ちゃ〜んと交流会出られて偉いねぇ〜!さっっすが僕の子!!」
勢い任せに飛びついた私を、五条さんは当然のように大きな腕でしっかりと受け止めた。
そして私の髪をゆるりと慈しむように撫でてから、五条さんはどこから取り出したのか、大量の不気味な人型人形を京都校の人たちへと一方的に配り始めた。