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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第16章 運命的な再開


そのままグイッと力任せに後ろに引き寄せられ、私の後頭部が硬い胸板にぶつかった。

同時に鼻腔をくすぐったのは、酷く安心する香りと体温。


「…………コイツに何か用ですか」


いつもより一段と低い声音が私の耳元で零され、恵くんの熱い息が私の鼓膜を掠める。

そのせいで身体が条件反射で小さく震え、一気に顔が熱くなっていくのが自分でも分かった。


「……なるほど。既に君のモノというわけか」
「………」
「流石だね。相伝の術式だけでなく、女性を見る目まであるとは」
「はあ?」


熱くなった顔を隠すように両手で覆い、私はただ小さく俯いた。

頭上で不穏な会話が繰り広げられているが、今の私にはそれどころではない。

早くこの熱をどうにかしなければ、また野薔薇ちゃんや真希さんに揶揄われてしまう。


「…オイ、どこ行くつもりだ」
「……っ、」


その場から逃げ出そうと腕の中から抜け出そうとしてみたけれど、より強く片腕で身体を抱きしめ直されてしまえば、私の逃げ場はどこにもなくなった。


「なんだ、伏黒。其れはお前の女か?」
「はぁー……………」


新しく割り込んできた声音に、恵くんは今日一番の深い溜息を吐き出した。

これは恐らく、心底面倒くさいと感じている時に出す、諦めに似た溜息だ。


「ん……?…ああ、お前がミス苧環だな?」
「っ、」


加茂さんを力尽くで押しのけて私の前に仁王立ちする大きな身体に、きゅっと身体が強ばる。

何とか問いかけに小さく頷けば、彼は不敵な笑みを浮かべ、岩のようにゴツゴツとした大きな手を差し出してきた。


「俺の名は東堂葵。個人戦で当たることを願って、今のうちに握手でもしておこう」
「………、」


告げられたその名を聞いた瞬間、顔の熱が一瞬で引き、自分の目が据わっていくのがわかった。


東堂葵────。


いつだったか、野薔薇ちゃんから聞いた名前だ。


「どうした?握手の仕方も分からないのか?」
「……握手、しません」


差し出された手から目を背け真っ向から拒否してみせると、東堂さんは何故か満足そうに「ほう」と呟いて、差し出していた手を引いた。
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