第11章 それぞれの役割
「ナマエ、恵〜!!二人でこの子、送ってあげて」
談笑を始めた三人の傍に寄ると、虎杖くんの影で怯えたように縮こまる男の子を家まで送り届けるよう指示される。
「あっ……あの、僕、一人でも…」
「一緒に帰ろ?お姉さんが送ってあげる」
「え……」
怖いだろうに必死で涙を堪え、虚勢を張って強くあろうとするその姿に、かつての自分が重なった。
そんな彼に精一杯穏やかな表情を作り、そっと手を差し出すと、男の子は丸くした目で私を見上げて固まってしまった。
「…………行くぞ」
「あっ、……はい」
けれど、その小さな手が私の指に触れる寸前。
恵くんの大きな手が男の子の頭をぐいっと撫で、そのまま私の前から連れ去るように歩き出してしまった。
「……」
結局、差し出した私の手は誰に取られることもないまま。
少しだけ空を見上げてから、私は二人の背中を追って歩き出した。