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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第11章 それぞれの役割


少し場所を移動して、廃ビルを見上げられる場所で私たちは腰を落としていた。


「ナマエ〜……ごめんねぇ?怖かった?僕のこと嫌いになった?」
「……ならないよ」
「じゃあ許してくれる?」
「許すもなにも、……五条さんは間違ったこと言ってないでしょ?」


地面に直接座り込んだ五条さんに下から覗き込まれ、甘い声音で何度もねだるように謝罪される。

そもそも何も悪くない五条さんの謝罪にどう返すべきか頭を悩ませていた、その時。


「お」


五条さんの短い声と同時にビルの壁からずるりと呪霊が姿を現し、私と恵くんは弾かれたように立ち上がる。


「祓います」
「祓います…!」

「待って」


今すぐにでも術式を叩き込めるよう赤い布に呪力を込めたけれど、制止する五条さんの声に、身体が条件反射で固定された。

そしてほんの数秒後。

這い出てきた呪霊は内側から鋭利な"釘"に貫かれたように弾け、塵となって消えていく。


「「…………」」
「いいね、ちゃんとイカレてた」


満足げに喉を鳴らした五条さんはひらりと立ち上がり、私と恵くんの頭を同時に ぽんと撫でてから、軽い足取りで廃ビルの入口へと歩いていく。

たぶん、戻ってくる二人を褒めるために。


「………出番、なかったね」
「…ああ」


五条さんとしては新入生の初陣が成功して満足なのだろうけれど、私としては、少しだけ胸の奥が寂しかった。

五条さんと同じ現場に立ったのは、最近でももう二年以上も前のこと。

いつも叱られてばかりの私だから、今日いい所を見せれば、少しは褒めてもらえるかも──なんて、淡い期待を抱いてしまっていた。
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