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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第11章 それぞれの役割


恵くんの温もりに、張り詰めていた何かがようやく緩み始めた時。


「いや〜! 実に良い修羅場だったよ!もっと楽しめばよかったのに!」
「……何も面白くないですよ。だいたい、あんたが場所も教えずに放置したせいだろ」


割り込んだ五条さんの軽快な声に、恵くんは眉間に皺を寄せ、冷たい眼差しを向けた。


そんな視線をさらりとかわして、五条さんは隣に立つ一人の少女を紹介するように片手を差し出す。


「ナマエ。この子、今日から同級生の──」

「釘崎 野薔薇。……それよりアンタ、ナンパのひとつもまともに断れないわけ?」

「え…っ」


自己紹介もそこそこに放たれた、ナイフのように鋭い一言に、心臓がギュッと音を立てて縮こまった。

真っ直ぐに射抜くような瞳のせいか、拒絶されたようなショックで指先が瞬時に冷たくなり、うまく息が吸えなくなる。


「釘崎!それ今言うことじゃねえって!」
「はあ?じゃあいつ言うのよ」


慌てて割って入った虎杖くんが、「それは、その……落ち着いた後とかさ……」と気まずそうに言葉を濁す。

けれど、釘崎さんの追撃は止まらない。


「どうせヘラヘラ笑って相手してたんでしょ? あんなの、無視して蹴り飛ばすのが一番よ」
「は、はい……すみません……」
「…………」


俯いた私を見て、釘崎さんは苛立ちを体現するように深く眉間に皺を寄せた。

初対面なのに既に嫌われてしまった。

そしてこの険悪な空気の原因が自分なことに、とてつもない罪悪感が湧き始める。


「ほれ、いい加減移動するよ~」


五条さんの能天気な声に導かれるように、虎杖くんと釘崎さんが歩き出す。


「ウッス!!ところで先生!六本木で何すんの?」
「ん~?それは着いてからのお楽しみ♡」


さっきの釘崎さんの言葉が、棘のようにチクチクと疼く。

動き出さない私を見かねたのか、恵くんは私の手を優しく取り、先を歩き始めた。

私は俯いたまま、その無言の温もりに縋るように、震える足を踏み出した。
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