第16章 運命的な再開
「……虎杖くんは私の大切なクラスメイトなんです。これ以上傷つけたいなら────先に、私を倒して」
東堂さんは"加減"という言葉を知っているつもりらしいが、本当の意味を少しも理解していない。
だから、虎杖くんとはこれ以上戦わせたくなかった。
そもそも最初は私とやりたがっていたのだから、この挑発に彼が乗らないはずはない……と、確信していたのだけれど。
「……!!そうか、そういうことか…!!」
突如、雷に打たれたように手を打った東堂さんは、何やらひどく感激したように瞳を輝かせた。
そのまま私と虎杖くんを交互に見つめては、何度も、何度も深く頷く。
「苧環…!お前はマイ・ベスト・フレンド──虎杖を、密かに想っていたというのか…!!」
「……違いますけど」
すかさず反論をしたが、東堂さんの耳には届かなかったらしい。
彼は今や恍惚とした表情で目を閉じ、気味が悪いほどに口角を吊り上げていた。
その姿は、見るからに己が作り上げた夢の世界へと没入している。
「ごめん、苧環……。コイツ、さっきから頭おかしいんだよ」
「うん……何となく、分かった……」
呆れたように呟く虎杖くんに同調するように頷けば、私たちの深い溜息が重なり合ってこの場に溶けた。
(怒ったり喜んだり、忙しい人だな……)
呆然と肩を落として東堂さんを見守っていると、何やら生暖かい、お花畑のような雰囲気に包まれた東堂さんが、自らの脳内で完結させたらしい"夢物語"を語り始める。
「分かる……分かるぞ、苧環! ブラザーになかなか振り向いてもらえず、その傷心に付け込まれ、伏黒に妥協してしまったんだろう!? なんという悲恋……!!」
「はぁ…?」
何がどうなれば、そんな支離滅裂な話になるのだろう。
……だいたい、今日初めて会ったばかりの私の何を知っているというのか。
この人はもしかしたら、……いや、もしかしなくても────救いようのないほど、頭がおかしいのかもしれない。