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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第10章 生きている証※


「これは……」


ハッとした表情で大袈裟に口元を覆った五条さんに、嫌な予感しかしなかった。

絶対にろくなことを言わない。

一刻も早くナマエを取り戻して、この不毛な話題を強制終了させなければ。


「恵!!お仕置きセックスチャンス、ゲットだね!」
「無下限といてください、今すぐに」


事後の倦怠が残る頭で必死に制止を試みたが、身体が動くのは一歩遅かった。

五条さんの余計な口出しのせいか、ようやく状況を察した虎杖の頬が、見る間に気まずそうに赤く染まっていく。


「返せよ」
「だから!俺じゃねえって………!」


両手を降参するように掲げた虎杖が、眉を下げて苦しげな表情を浮かべる。

虎杖の腕からナマエを半ば強引に引き剥がし、奪い返すようにその華奢な背中を抱きとめた。

その時だった。


「………だ、れ?」


ゆっくりとナマエの赤い瞳が開かれ、その瞳孔に虎杖の姿が映り込む。

途端、俺に体重を預けていたナマエが弾かれたように俺の背後へと回り込み、しがみつくように腰へ腕を回した。


「っ…、恵くん、この人だれ……?」
「……今日から同級生の、虎杖」
「いたどり……くん?」


震える声で、俺の背中に顔を埋めるナマエ。


俺の服を強く掴むその指先からは、虎杖に向けられた純粋な警戒心と、俺への無条件な信頼が伝わってくる。


さっきまで別の男に抱きついていた苛立ちは、この愛らしい仕草ひとつで、いとも簡単に霧散してしまった。


「虎杖 悠仁!呪術のこととかまだ全然わからんけど、よろしく!」


虎杖は俺の背後に隠れたナマエを覗き込み、目線を合わせるように屈んで、快活に自己紹介を済ませた。

切り替えが早いのか、あるいはこいつなりの気遣いか。

さっきまでの生々しい気まずさは綺麗さっぱり隠れている。


「……ミョウジ ナマエです、よろしくお願いします」


対してナマエは俺の背中に頬を押し付け、虎杖の視線から逃げるように縮こまっていた。

人見知りは克服したと思っていたが、寝起きで判断力の鈍った状態では、そうもいかないらしい。
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