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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第10章 生きている証※


「……隣かよ」
「伏黒!」


あからさまに眉間に皺を寄せてみせた俺を余所に、虎杖の隣に立つ五条さんの口角がいやらしく吊り上がった。

そのニヤついた表情を見て、「いつから居たんだ」という問いは反射的に飲み込んだ。

そんなことを聞けば、ナニをしていたか掘り下げられるのが目に見えている。


「空室なんて他にいくらでもあったでしょ」
「え~??だって賑やかな方がいいでしょ?良かれと思って───」
「授業と任務で十分です」


後頭部の髪を乱暴に掻きながら言葉を被せると、五条さんはヘラりと軽く笑い、無遠慮に距離を詰めてきた。


「あ、もしかして……悠仁が隣だと何か不都合なことでもあった?」
「っ……はあ?」


目隠しを少しだけ指で押し上げ、虎杖には聞こえない小さな声で囁かれる。

その確信犯的な問いに、つい十数分前まで腕の中にいたナマエの、熱に浮かされた顔が脳裏を過る。

俺は奥歯を噛み締めながら、目の前の大男を殺意を込めて睨みあげた。


まさに一触即発。


余計な写真をナマエに送りつけた前科も含め、一発殴ってやろうと拳を固く握りしめた、その時だった。


「先生ッ!!!伏黒の部屋に!!女子が!!寝てる!!!」
「……!」


一瞬、呼吸が止まった。

俺は五条さんから視線を外し、弾かれたように背後の扉へ目を向ける。

いつの間に動いたのか、半開きになった扉の隙間から部屋を覗き込んだ虎杖が、世紀のスクープを目撃した記者さながらの血相で叫んでいた。


「お前ッ、何勝手に覗いてんだ…!」
「イデッ」


迷わず虎杖の頭に拳を叩き込み、勢い任せに凄まじい音を立てて扉を閉めきる。


最悪だ。

よりによって、これから同じ教室で顔を合わせる虎杖に現場を抑えられた。


隠すつもりはなかったが、事後の自室でエンカウントするなどという、デリカシーの欠片もない事態は避けたかったのに。
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