第10章 生きている証※
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甘やかな愛撫の音が、静まり返った部屋に絶え間なく響く。
カーテンの隙間から細く差し込む昼の光のおかげで、私の胸元に顔を埋める恵くんの表情がうっすらと見えた。
硝子さんに治療してもらったのだろうか。
いつも通りの端正な顔立ちをぼんやりと見つめていると、写真に映っていたボロボロの恵くんの記憶が、脳の奥から溶けて消えていく。
「……何考え事してんだよ」
「っ…、して、ない…っ」
「どうだか」
「ひゃっ…!!」
低い、熱を帯びた声が鼓膜を震わせる。
それと同時に、両手で胸の頂きを執拗に弄られ、挙句の果てには熱い口の中へと招かれた。
ぢゅる、とわざと音を立てるように深く吸い上げられ、耳から脳まで侵されていくような感覚に陥る。
「そっ、それ…っ、ヤ……、」
「どれだよ」
恵くんは顔を上げることなく、熱い吐息を肌に吹きかけながら意地悪く囁いた。
その言動のせいで頭の中が白く塗りつぶされ、足の先まで痺れるような快感が波のように押し寄せてき くる。
「…一回、楽になっとけ」
抗う術を失った私を見下ろして、恵くんは片手を下へと滑らせた。
溢れ出した蜜を絡めるように、ゆっくりと往復する熱い指の感触に、身体が無意識に強ばる。
「やっ……ん…!」
不意に一番敏感な突起をぬるりと抉るように撫でられ、私は反射的に溢れそうになった声を両手で塞いだ。
それを見た恵くんは、不満げに眉を寄せ、口元を歪める。
「我慢比べか?」
「んっ…!?」
恵くんはもう一度私の胸元に顔を埋めると、視線だけをこちらに向け、勃ちきった先端をパクリと深く食んだ。
そのまま舌を転がし、時折歯を立てるような強引な愛撫に、私は背中を大きく反らして悶絶する。
「ん……ぅ、んん……っ!」
溢れ出る蜜のせいで、恵くんの指が動く度に ぐちゅぐちゅと淫らな音が聞こえた。
快楽と、恵くんにすべてを暴かれ、満たされていく愉悦感。
その渦の中で恵くん色に染め上げられながら、私は苛烈な愛撫に煽られるように深く達した。