第10章 生きている証※
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昨日はとんだ一日だった。
回収予定の呪物は所定の場所になく、やっと持ち主を見つけたと思えば箱の中身は空。
その果てに向かった先で呪霊と対峙し───結果、虎杖が宿儺を受肉した。
(クソ……情けねえ)
そもそも、最後のは俺がヘマをしたせいでそうなった。
もしあの場にナマエが居れば、結果は違ったのかもしれない。
『呪物の回収くらい、一人で事足りるでしょ』
昨日、アイツと五条さんの前で吐き捨てた言葉が、今の俺の心臓を刺す。
呪物の回収すら満足にできず、挙句の果てには俺を助けるために、虎杖に特級呪物を取り込ませた。
格好がつかないどころの話じゃない。
(………変わってねえな、俺は)
少しは強くなったと思っていた。
ナマエと任務を分けるようになってから、他の術師との連携も覚えた。
アイツと同じ二級に上がってからは、単独での任務だってこなしてきた。
相手が俺より上級だったから、なんてのは言い訳にしかならない。
……これじゃ、アイツを遠ざけた意味がなくなる。
「あ、恵。僕は悠仁が荷物纏めて来るの待ってるから、お前は先に高専戻ってな」
虎杖の家の前。
気を紛らわすために携帯を弄っていた俺に声がかかり、顔を上げた。
「なんでですか。俺も待ちますよ」
「大怪我させられといて何言ってんだか。まだ痛むでしょ、早く硝子に治してもらいな」
食い気味に返された言葉に、言い返す気力すら削がれる。
五条さんの言う通り、頭に巻かれた包帯の下は、今もズキズキと熱を帯びて痛んでいた。
「それに、ナマエが心配してるよ〜?ほら」
五条さんは何の悪びれもなく、ナマエとのトーク画面を俺の鼻先に突きつけてくる。
そこには俺が倒れている写真を無遠慮に送りつける五条さんと、それを見たナマエが取り乱したように連投するやり取りがあった。