第10章 生きている証※
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被呪者三名は補助監督さんの車へ。
私と七海さんは別便で手配したタクシーに乗り込み、指定の病院へと向かった。
幸いなことに三人とも命に関わるような怪我はなく、簡単な検査を済ませた後、それぞれ帰路に着いた。
静寂が戻った車内。助手席に座る七海さんから、今日の任務の総評が下された。
「戦闘判断力に関しては………まあ、五条さんの言う理由も分かりますね」
「えっ」
「先程、呪霊を祓った直後に軽く説明したことを、あまり理解出来てないように見えたので」
「あ〜………」
図星だった。
『条件付きの術式ゆえに近接戦闘には不向き』という言葉は覚えている。
けれど、私の脳内では「なんか強かったけど、七海さんがもっと強かったから勝てたんだな」くらいの解像度でしか処理できていなかったのだ。
「ただ、理論的な判断なしで準一級まで登り詰めるのは、決して簡単なことではありません。そこは誇っていいでしょう」
「……!!」
不意に飛んできた称賛に、視界がぱっと明るくなる。
けれど、七海さんの言葉には続きがあった。
「まあ経験上、貴女のような人間は早死にするタイプですがね」
「…」
上げて落とすのが上手な人だ。
そのせいで、私の表情は自分でも分かるほど急速に引き攣っていった。
「勘が機能しているうちは安泰でしょう。ですが、それに頼り切ることを、私はお勧めしません。
いつか必ず、その"勘"を上回る理不尽に直面しますから」
「ハイ……頑張ります」
膝の上で小さく握り拳を作り、私は深く、重いため息と共に俯いた。