第10章 生きている証※
ふと今回の任務について、五条さんの部屋へ話を聞きに行った時のことを思い出す。
「呪物の回収くらい、一人で事足りるでしょ」
「そんなこと言って〜!!所定の場所に呪物がある保証なんてないよ〜?」
「そんなことあるんですか」
「ない!……とはいえないね!」
恵くんは、相変わらず任務に私を同行させるのが嫌なようで、どこか突き放すような態度だった。
それでも「たまには二人で羽目外して来なよ」という五条さんの強引な後押しがあって、ようやく恵くんの渋い了承を取り付けたというのに。
「あの、伊地知さん……。その任務、明後日にズラしたりできませんか……!」
「えぇっ!? い、いやぁ……それは、」
引きつった顔で後退りする伊地知さんを、私は縋るような目で見つめる。
…… 一日。
その猶予があれば、恵くんと呪物を回収して、その足で仙台の街を少しだけ歩く時間くらいは作れるはず────なのに。
「……実は、京都の任務は他の術師の方との共闘という形になっておりまして」
「…共闘、」
「はい。相手方のスケジュールもありますので、どうしても……変更は難しく……」
申し訳なさそうに、徐々に消え入るような声になっていく伊地知さん。
他人を引き合いに出されてしまえば、一介の一年生である私には、それ以上何も言い返す言葉が見つからなかった。