第10章 生きている証※
中学を卒業し、私たちは"東京都立呪術高等専門学校"という新たな学び舎へと足を踏み入れた。
日々の授業の合間に実地任務をこなし、空いた時間で遅れた分のレポートを取り返す。
そんな息つく暇もないほど濃密な生活に追われているうちに、入学式から早くも一ヶ月が過ぎようとしていた。
「ミョウジさん。急な話で申し訳ないのですが、明日、京都へ任務に───」
「…………」
目の前で申し訳なさそうにタブレットを抱える伊地知さんの言葉に、私は頬を膨らませた。
何故ならば、私は今日の夕方から、恵くんと仙台へ呪物回収に行く予定だったから。
「あ、あの〜……ミョウジさん?」
「伊地知さん………」
行きたくない、と駄々をこねられる立場ではないことは分かっている。
けれど、なぜこんなにもタイミングが悪いのか。
まるで見えない何かに示し合わされたように感じて、納得がいかなかった。
それに、恵くんと同じ任務につける機会なんて、今の私には滅多にない。
二人とも二級術師として登録され、あちこちの現場へ引っ張りだこ。
おまけに、約二年前のあの時から続いている『任務先を極力別々にする』という暗黙のルールが、今もなお強力に行使されているからだ。
……もっとも、恵くん本人がそれを望んでいる節もあるけれど。