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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第30章 呆然と失墜


きっと、紅海に情報共有をしなかったからではない
“同じ側に”紅海を入れなかったから
なのに自分は、紅海に知られたら傷つくであろう方法を選んだ

「……完全に判断ミスだよな…解ってるよ」
自分に言い聞かせる様に呟く

次の瞬間、五条の気配が消えた…紅海を追う

一方……紅海
走って、走って、走って、走って…
足音が乱れ、石畳を蹴るたび、呼吸が崩れていく
呪力の出力が乱れる

悟に追いつかれないように…涙を――見せないように

涙が止まらず、視界が滲んで前が見えない
拭っても、拭っても、次から次へ落ちる
医療棟の人気のない裏まで来たところで
ようやく足が止まった…壁にもたれ力が抜ける

『……っ……』

息がうまく吸えない。
胸が痛い…怒っていたはずなのに
今あるのは、後悔だけだった
『また……やっちゃった……』
小さく呟く
頭の中に浮かぶのは、さっきの悟の顔
何も言わなかった表情
『絶対……悟、嫌な思いしてるよね……』
手で口を押さえる…声が漏れそうになる
『傷ついたか……怒ったか……』

自分がぶつけた感情が原因
『……喧嘩吹っ掛けたみたいなもんじゃん……』
膝が震え、そのまましゃがみ込む

ずっと我慢してきた…
悟は忙しいし、悟には責任がある
そして、悟には背負うものがある
だから、自分は、悟を支える側でいたかった

なのに、結局、欲しかったんだ…
悟に認めて貰いたい…“特別”
『……子供みたい……私』

涙がぽたりと落ちる
その時、足音が一つ
コツ、と乾いた音
「……あーあ」
聞き慣れた声

振り返る前に分かった
家入硝子だ…
白衣のポケットに手を突っ込んだまま近づいてくる
「こんなとこで泣くと風邪ひくよ」

紅海は慌てて顔を拭く
『ち、違……ないてない』
「言い訳いいから」
間を置かず切られる
硝子は隣にしゃがんだ

それだけで、張り詰めていたものが緩んだ。
『……私ね悟に……怒っちゃった』
「うん」
『言わなくていい事まで言った』
「うん」
『絶対、嫌われた』
硝子が小さく息を吐く
「それは無いだろ」

紅海が顔を上げる
「アイツ、紅海の事、嫌いって思えるくらい切り替え器用じゃないでしょ…むしろ今頃、自分責めてるかもね」
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