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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第29章 信頼と恋敵


ちらっと隣を見る
五条は前を向いたまま歩いている
歩幅をわずかに合わせているのに気付いて、 視線を逸らした
「…急に…静かだね」
ぽつりと五条が言う
『え?』
「さっきまで普通に喋ってたのに」
少し笑う気配
「出張、疲れた?」
『ううん…大丈夫』

少し迷ってから
『なんかさ…悟、最近ちょっと優しいよね』
夜空を見上げながら言う…

「最近?」
『うん…昔はもっと雑だった気がする』
「雑って、どこらへん?」
『ほら、高専の頃とか、 任務帰りでも普通に放置されたし』
「あれは紅海が平気そうだったからでしょ」
即答だった
『……今も平気だよ?』
足を止めずに言う
『危なくなったら自分でどうにか出来るし』

「知ってるよ、紅海が強いのも、 無茶するのも、 自分で立てるのも」
視線は前に向いたまま…
「だから昔は放ってた」
街灯の下を通り過ぎる

「でもさ、平気そうにしてるやつほど
限界越えるんだよね…
あと、昔と今、同じ距離感なわけないじゃん」
『……?』
横を見る
五条は少しだけ笑っていた
「僕ら、今はもう高専時代の年齢じゃないしね」
『…なんか、慣れないね』
正直な感想が口から漏れる
「なにが?」
『こういう…女の人みたいに扱われるの』
言ってから恥ずかしくなる

五条は一瞬黙り、 小さく息を吐いた
「紅海は…術師だけど…普通に女性だからね
今まで僕が雑すぎただけ」

『…それ認めるんだ』
「うん、反省してる」
そして少しだけ声が柔らぐ
「だから今はちゃんと送ってるでしょ?」
歩幅がまた自然に揃う


紅海の家へ続く住宅街
『本当に、この辺までで良いよ…悟、忙しいのにありがとう』
立ち止まり、軽く手を振る
五条は微笑む
「気を付けて帰れよ?家に帰るまでが仕事だからね」
『ふふっ、なに、遠足?』
「似たようなもんでしょ」
小さく笑い合って、 自然に背を向ける

紅海、歩きながら思う
悟が大人になっただけ…

全部、自分だからじゃない
きっと誰にでもそうする
悟、本当に優しいなぁ…
納得すると、 胸のざわつきが静まる
それ以上考えないようにする

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