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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第28章 祭と涙


「あなたの魂なら世界すら私を必要とする」
愛されないなら必要とされればいい
必要とされ続ければ捨てられない

彼女は手を伸ばし魂へ触れる
――瞬間の拒絶
宿儺の魂は、簡単には所有できるものではなかった
巫女の身体が崩れる…
消え入る前に、自分の子の元へ帰った
それは呪いを残すため…
砕け散る寸前…自分の血筋へ残酷な縛りを結ぶ
自分自身の魂と未来へ…

「いつか私を引き継ぐ者が現れた時…この力を全て与えよう…愛するものが亡くなる度に力が増幅する様に…
そして、耐えられない絶望の最中に変わってあげましょう」
巫女は爆ぜた

愛を願い、愛に執着し、愛を渇望した魂
時間を越えて流れていく

夢の中で巫女が近づく
「…あなた愛されているのね」
羨む様に告げる

紅海の胸が締め付けられる

巫女は微笑む
「あなたへ向ける愛を頂戴」
指先が紅海の胸へ触れる

その瞬間
宿儺の欠片が、わずかに反応し
巫女の姿が揺らいで押し戻される
景色が崩壊した時、紅海は息を飲んで目を覚ます

まだ、夜明け前
先程まで見ていた光景を忘れてしまっているのに
何故か、涙が一筋、頬を伝っていた
═══
「流鏑馬紅海」
名を口にする
「実に理想的な贄だね」
真人が首を傾げる
「贄?」
「彼女が欲しいんじゃなくて?」
羂索は笑う
「もちろん…だが本命は――中身だよ」
指先を軽く上げる…まるで見えない魂を撫でるように
「眠っている平安の巫女の魂…そして宿儺の欠片
本来、共存できるはずのないものが融合している」
それは奇跡ではない…彼女の存在があってこそだ
「今回の接触はね、揺らすためだ…魂は外から刺激されると、“記憶”と“人格”を思い出すからね?」
真人の目が輝く
「そーなんだ?今頃、魂目覚めてる?」
羂索は肯定も否定もしない

「巫女はね、愛を求め続けた魂だ…利用され、渇望し、執着し続けた存在」
微笑む…
「もし目覚めれば、誑かし協力者にする…だから、壊してはいけないんだ」
不満そうな顔をする真人を羂索は笑う
「まぁ、巫女が完全に目覚めるまでは、もう少し時間が掛かるね」

「ねぇもし巫女が目覚めたらさ、彼女どうなるの?」
羂索は即答しなかった
少しだけ考え静かに言った
「共存するか…上書きされるか…検討はつかないね」
千年越しの物語が、動き始めていた。
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